私は15年間、内製Webデザイナーとして企業のプロダクトに携わってきました。
その中で感じてきた内製デザインの魅力や課題、そして経験を活かして、これからのデザイナーに向けて少しでも参考になるような記事を書こうと思います。
受託やフリーランスとはまた違う、内製デザイナーならではの視点で、どのようにキャリアを築き、成長していけるのかをお伝えできればと思います。
1. 内製デザイナーとは?特徴と受託・フリーランスとの違い
Webデザインの仕事にはさまざまな形態がありますが、大きく分けると「受託」「フリーランス」「内製(インハウス)」の3つに分類できます。
ここでは、内製デザイナーがどのような役割を担い、他の形態とどう違うのかを解説します。
受託デザイナー・フリーランスとの違い
受託デザイナー(制作会社)
- クライアントから依頼を受け、Webサイトやアプリを制作します。
- プロジェクトごとに異なる業界・企業のデザインに関わります。
- 納品後の運用には基本的に関与しないことが多いです。
- 納期や予算の制約があり、スピード感を求められます。
フリーランスデザイナー
- 自分で案件を獲得し、受託や自社プロジェクトのデザインを行います。
- 仕事内容や働き方の自由度が高いですが、営業や経理などの業務もこなす必要があります。
- クライアントワークの場合、受託と同様にプロジェクトごとに仕事が変わります。
- 安定した収入を得るためには継続的な案件獲得が必要です。
内製デザイナー(インハウスデザイナー)
- 企業内に所属し、自社のWebサイトやサービスのデザインを手がけます。
- 短期的な案件ではなく、継続的に改善・運用に関わります。
- 事業やプロダクトの成長に深く関与し、長期的な視点でデザインを考えることが可能です。
- 社内の他職種(エンジニア・マーケター・営業など)と密に連携しながら進めます。
- 制作だけでなく、デザインの戦略やブランディングにも携わることが多いです。
内製デザイナーの具体的な役割と業務内容
内製デザイナーの主な役割は、自社のWebサイトやアプリ、プロダクトのUI/UXデザインを担当し、ユーザー体験を向上させることです。しかし、その役割は単なるデザイン作業にとどまりません。
- UI/UXデザインの改善: データ分析やユーザーヒアリングを基に、使いやすいデザインを考えます。
- デザインシステムの構築・運用: 一貫性のあるデザインを維持し、開発を効率化します。
- ブランディング: 企業のブランドイメージを統一し、ビジュアルの一貫性を保ちます。
- プロダクト開発との連携: エンジニアやプロダクトマネージャーと協力し、最適なデザインを提案します。
- マーケティング支援: 広告やキャンペーンページのデザインを手がけ、成果を最大化します。
受託やフリーランスと比べて、内製デザイナーは「単発の制作」ではなく、「長期的な視点でデザインを改善し続ける」ことが求められます。そのため、デザインスキルだけでなく、事業理解やデータ活用、チームでの協働スキルも重要になってまいります。
2. 内製デザイナーの強みとメリット|長期的な関わりが生む価値
内製デザイナーには、他の働き方にはない独自の強みがございます。ここでは、特に大きな魅力となるポイントを4つご紹介いたします。
長期的にプロダクトに関われるメリット
内製デザイナーは、自社のWebサイトやサービスを継続的にデザインし、改善を行う立場にあります。受託のように「納品して終わり」ではなく、リリース後もデータを分析し、ユーザーの声を反映しながらデザインを調整できます。
そのため、短期的な流行に流されるのではなく、中長期的な視点で本当に良いデザインを追求できるのが大きな魅力です。
事業理解を活かしたデザインの重要性
内製デザイナーは、会社の事業やサービスに深く関わるため、単なるビジュアルデザインではなく、
事業成長に貢献するデザインを考える必要があります。
例えば、
- ユーザーの行動データを元にUIを改善する
- ビジネスゴールに合わせたデザイン施策を提案する
- 会社のブランド価値を高めるデザインを考える
といったように、デザインの目的が「見た目を整えること」だけではなくなります。このような環境は、デザイナーとしての視野を広げる良い機会となります。
チームでの継続的な改善とその効果
内製デザイナーは、エンジニアやマーケターなど、社内のさまざまな職種のメンバーと長期的に協力しながら仕事を進めます。
受託のように「案件ごとに異なるチームと働く」ということは少なく、同じチームメンバーと信頼関係を築きながら、継続的に改善に取り組める点が大きなメリットです。
これにより、
- 各メンバーの強みを活かしながら、より効果的なデザインを作れる
- 事業の成長とともに、デザインの方向性を柔軟に調整できる
- コミュニケーションコストが減り、スムーズに仕事を進められる
といった利点があります。
品質を重視したデザインが可能な理由
受託やフリーランスの場合、納期や予算の関係で「とにかく早く作る」ことが求められるケースも少なくありません。
しかし、内製デザイナーは長期的にプロダクトに関わるため、品質を重視したデザインが可能です。
もちろん、プロジェクトのスケジュールによってはスピードが求められることもありますが、
- 短期的な成果よりも、長期的に価値を生むデザインを考えられる
- テストや検証を重ねながら、より良いUI/UXを目指せる
という点で、質の高いデザインを追求できる環境にあります。
3. 内製デザイナーの成長戦略|スキルアップと市場価値の高め方
じっくりと改善できる環境を活かしてスキルを磨く
受託やフリーランスの仕事では、納期やクライアントの要望に応じてスピードが求められますが、内製デザイナーは比較的、長期的にプロダクトの改善に取り組むことができます。
もちろん期限はありますが、品質を重視するために納期が延長されたり、同じプロダクトに継続してアサインされるケースも少なくありません。
このような環境を活かし、ユーザーのフィードバックを反映しながらデザインを進化させることで、より精度の高いデザインを生み出せるだけでなく、自身のスキルアップにも繋がります。
幅広い知識を身につけ、キャリアの選択肢を広げる
長期的にキャリアを成長させるためには、デザイン領域を超えて、ビジネスや技術に関する知識を身につけることも重要です。
例えば、プロダクトマネジメントを学ぶことで、デザインの視点からプロダクト全体の方向性を考えられるようになり、より戦略的な貢献が可能になります。
また、マーケティングの知識を得ることで、デザインを通じて売上や集客に直接影響を与える施策を提案できるようになります。
さらに、フロントエンドの基礎(HTML・CSS・JavaScriptなど)を理解することで、エンジニアとの協力がスムーズになり、実装を考慮したデザインの精度を高めることができます。
これらの知識を身につけることで、デザイナーとしての市場価値を高めるだけでなく、キャリアの選択肢を広げることができます。
4. 内製デザイナーのキャリアパス|将来の選択肢と成長の道筋
内製デザイナーのキャリアパスは、受託やフリーランスのデザイン業務とは異なり、より深く、そして幅広く関わることが求められます。
プロフェッショナルとしてスキルを極める方法
内製デザイナーは、まずはデザインの専門性を深めるところからスタートします。
プロダクトの成長に長期間関わることで、デザインスキルやユーザー理解が徐々に深まり、ますます精度の高いデザインを提供できるようになります。
特に企業のビジョンやユーザーのニーズに合わせて、デザインを進化させていく能力が求められます。
プロダクトが変化する中で、どのようなデザインが最も効果的かを見極め、実行するプロフェッショナルとしての役割が重要です。
メンター・マネージャーとしての役割とキャリアアップ
一定の経験を積んだ後、内製デザイナーはメンターやマネージャーとして、後輩の育成やチームの指導に関わることができます。
デザインのスキルだけでなく、チームメンバーの成長をサポートする能力も重要です。
デザインプロセスの改善提案を行ったり、チーム内でのベストプラクティスを共有したりすることで、チーム全体のスキルアップを図ることができます。
リーダーシップを発揮することで、個々のデザイナーがより高いレベルで活躍できる環境を作り出すことができるのです。
プロダクトオーナーや戦略的なポジションへの進み方
さらに経験を重ね、プロダクトオーナーや戦略的な役割を担うこともできます。
プロダクトの方向性や機能の優先順位を決める際に、デザインの視点から意見を述べたり、ビジネスの視点を持って意思決定をサポートしたりします。
デザインとビジネス、ユーザーの要望をつなげる役割を果たすことで、より大きな影響力を持つ存在となり、会社全体の成長に貢献できるのです。
5. まとめ|内製デザイナーの未来とこれからのキャリア
内製デザイナーは、これからも企業の成長を支える重要な役割を担い、ますますその価値が高まっていきます。
デザインの枠を超えて、戦略的な視点を持ち、ビジネス全体に貢献できるデザイナーになることが、今後のキャリアにおいて非常に重要なポイントです。
内製デザイナーとして未来を築くためには、自分の役割を見極め、柔軟にスキルを拡充していくことが大切です。
デザインスキルを磨き、他職種との連携を深めて成長を続けることで、内製デザイナーとしての未来は広がります。